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妖怪男ウォッチ

恋愛文化人類学が趣味の外資アラサーOLによる、ラブ魔窟サバイバル記録。

人生から逃避したいアラフォー男が、アラサー女を女神として偶像崇拝した

『完全教祖マニュアル』がヤバイ。よくぞここまで、人間の心の弱さを分析したもんだと思う。これはもう、人の心を掌握したい人間、支配型マネージャ、コンサル男のバイブルといってもいいんじゃないでしょーか。

怠惰なまま楽になりたい、現実を見たくない考えたくない、という人間の心の弱さを換金するのはこんなにもちょろいんだなと感心する。わたしだってちょろっと宗教たちあげて、うっはうっはお金持ちになりたい。けど、勝手に新興宗教の女神に祭り上げられて偶像崇拝されることになるなんて思いもしなかった。

完全教祖マニュアル (ちくま新書)

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今回の妖怪:人生詰んだドリーマーのアラフォー男

「僕は考えることが苦手なんだ。だから僕のかわりに、考えることが得意なあなたに考えてほしい」

こんな言葉を言われたとき、?????????の旋風がわたしの頭を吹き荒れて、首も?型に曲がりました。

「自分の人生はなぜうまくいかないのか」ということを相談されて、いろいろ会話したあげくの結論がこれです。

「僕の弟の嫁さんと君は似てる。弟の嫁さんは外資系コンサルでとても論理的で、弟は彼女のいうことを聞いて救われたんだ。僕とつきあってほしい。なんでも言うことを聞くよ」

いやいやいやいやいやいや、その流れでその告白はありえんでしょ。なんで喜々として下僕宣言???私そういう承認欲求ないし、女王になりたいわけでも女神になりたいわけでもないんですが。

 

私が大学生だったころ、彼はサラリーマンでした。もともと海外育ちで高校生のころに世界一周を経験しており、サバイバル能力が高く、話す内容が当時の私にとっては新鮮で、大学の社会人受講枠のつながりで友達になりました。

ところが仕事をやめて「プロのシナリオライターになりたい」といって大学に入りなおしたところから、歯車は狂い始めました。

「やりたいことをやりなさい」という自己啓発の言葉を真に受けて、てがたい仕事を「つまらない」と言って捨て、好きなことだけを追いかけていたら人生の袋小路にきたところで、私たちは再会したのです。

希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想 (光文社新書)

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アラフォー「なんでぼくはシナリオライターになれないんだろう。就職浪人を4年もやって、応募しまくったのに。7年つきあった彼女はぼくが正社員になれなかったせいで男をつくって逃げたし、この年でろくな職歴が10年ないから正社員の仕事がない。人生に絶望してる。どうすればいい?」

わたし(彼女いたんだ………………)「面接に落ち続けた原因はなんだと思ってるの?」

アラフォー「募集人数が少ないからだろうね。あと、ぼくは面接があまり得意じゃないんだ。自分を誇張するのが好きじゃない」

わたし「自分の作品をインターネットで公開してアピールすれば、しゃべりがへたでもどうにかなったのでは?」

アラフォー「入社してからちゃんと教えてもらいたいから、あんまり自分ではつくってなかった」

わたし「えっ、じゃあ会社側があなたを採用するメリットないじゃん」

アラフォー「仕事を教えてもらえれば、ちゃんと作品をつくるよ。メリットはじゅうぶんにあると思うけどな」

わたし(えっ?????)「……でも4年も面接に挑戦してるわけでしょ。最初の失敗で、なにがだめだったのか、分析して考察したの?」

アラフォー「ぼくは考えることが苦手なんだ。思考すると3分ぐらいで頭がヒートしちゃう。体を動かすことのほうが得意だから。うまくいかなかったのは、年齢で足切りする構造だね。社会が悪いんだよ」

わたし(社会のせい、いただきましたーーーーーーー!!!!)「いや、そもそも考えるのが苦手なら、そういう知的産業は根本的に向いていないと思うんだけど、向き不向きは考えなかったの?」

アラフォー「親は“好きなことをやりなさい”って教えていた。いまはもっと“実践的なことをやりなさい”っていうのが国の教育方針だけど、僕の時代は違ったんだ。僕は言われたことを信じたまでだよ。親と教育制度がいまみたいなことを僕に教えてくれていたら、こんなことにはならなかった」

わたし(教育のせい、いただきましたーーーーーーーー!!!!!おかわり早いよ!早すぎるよ!!!)「いや、わたしは親になにも言われなかったけど、ちゃんと自分で食べていきたかったから、自分の向き不向きを考えて、これから伸びそうな産業に就職しようと思っていたし、面接に落ちたときは要因分析してたよ。教育は関係ない。考えようとするかどうかだと思うけれど」

 

……という会話の結果、冒頭のうんこ発言が爆誕したのでありました。

 

うん、わかってる。こんなになるまで会話を続けちゃいけなかった。ていうか、そもそも話を聞こうとしちゃいけなかった。「ごめーんこれからガチャ回さなきゃいけないから離脱するね☆☆」とでもいうべきだった。モンスターとエンカウントした瞬間にトンズラダッシュを決めずに、モンスターと一緒に魔窟でお茶を飲んでしまうからだめなんだ。

 

ぼくの思考停止を救って

このあと、えんえんと弟の嫁がいかに高スペックであるか(だめんずを飼う以外はガチ優秀なバイリンガルコンサルだった)を聞かされ、その流れでいかにわたしを優秀ですばらしい女性であるかを聞かされ、あなたは女神だ救世主だ、あなたの言うことを聞きたい、崇拝している、だから僕を救ってくれと、利己心にまみれた信仰宣言を聞かされました。

誰かに依存されたい、必要とされたい、浮気なんて考えも寄らない人がいい、束縛したい、女王でありたい、というニーズがあるならいいのでしょう。でもわたしはそうじゃない。自分がラクになりたいから愛しますって、まちがってもそんなのを愛だと呼びたくない。

アラフォーにとって女はもはや「自分たち思考停止ブラザーズを救ってくれる女神」で、いかに尽くして信仰告白をするかで勝負が決まると思っているようでした。

ナンミョーホーレンゲキョー・アナタハスバラシー・ボクヲスクッテーと1000回となえたら人生イージーモードに突入するとでも思ってんですか。解脱したいなら、動かずに信仰告白するのではなくちゃんと動け。じゃないと21世紀の生き仏になるぞ。

私が新興宗教の教祖だったら「カモネギやっぴー☆」てな感じになったのかもしれませんが、私は残念ながら教祖じゃないし、なりたくもない。

 

信仰告白をふりきって、内省せずに社会や教育など他責にする思考停止人間、人に寄生して楽に救われようとする思考停止人間、人からいわれた言葉の意味を考えようとしない思考停止人間と付き合うつもりは1ミリもないという意味のことを告げ、そっこースパブロ決めました体験入信ありがとうございました!

 

完全教祖マニュアル (ちくま新書)

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ブラックユーモアが炸裂して大笑いできるわりに、人間の弱さをきっちり描き出している良怪書。「神を生み出そう」「現世利益をうたおう」「不安を煽ろう」「甘い汁を吸おう」など、目次だけで鼻水が出る。サイコー。

こういうアホエロな信仰だったらまだ明るい笑いがあったのですが。