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妖怪男ウォッチ

恋愛文化人類学が趣味の外資アラサーOLによる、ラブ魔窟サバイバル記録。

アラサー女子の結婚願望を根こそぎ抹殺しにかかる映画『ゴーン・ガール』を見たよ。

ねぇ、あの、本当に謝るからさ、私のなけなしの結婚願望を奪い去らないでくれるかな?

そんな文句の一つも言いたくなるような、「夫婦愛」を描いた映画『ゴーン・ガール』。去年のベストオブ胸くそ作品にノミネートされているあの話題作です。

去年公開中に鑑賞してげっそりぐったりしたのに、また見てやっぱりげっそりぐったりしたので皆様にもどんより感想をお裾分けするよ☆

 


映画『ゴーン・ガール』予告編 - YouTube

 

結婚は墓場、なんて言葉はもはや生ぬるい

拭い去れない「結婚」への不信感を植え付けてくれるこの映画は、見終わった人間の目から光を奪い去ります。うわあいレイプ目。天国がいらっしゃいませしてるよ!

男と女と性と愛の徹底的な断絶を見せつけた『ニンフォマニアック』が「絶望感」という答えを用意していたのなら、この映画はそんなわかりやすい感情さえも与えてくれない「虚無感」を与える映画と言えよう。まぁね、ゆーて監督デビッド・フィンチャーだしね。うん。はい。すいません。

結婚とか、夫婦とか、愛憎とか、ボクモウワカラナイヨ。

全米で600万部以上を売り上げたというベストセラー小説を忠実に映画化したといわれるこの作品。小説元ネタは実際アメリカで起こったスコット・ピーターソン事件を題材にしている。

「理想の夫婦」だと思われてたニックとエイミー。ところが、結婚5周年の記念日にエイミーが失踪したことから、その「完璧な」結婚生活の真実が暴かれていき、夫ニックにはエイミー殺害の嫌疑がかかっていき……というストーリー。

 

ミステリーで2時間半という、これまた長丁場な映画を見終わった時、全身の倦怠感がものすごかった。

エンドロールを眺める私は、後頭部を鈍器で殴られたような、暗澹をした気持ちを抱えて、自分の頬を伝う涙の意味をちっとも把握できずにいて、脳みそ大混乱。

とにかく重苦しく、首元をキュッと絞められたような気持ちであることは間違いがないのだが、「それ」がなんなのか、皆目見当がつかず、ぼんやりと自分の感情の整理をつけようと必死になった映画でした。

他人は全部、私の夢を叶える道具なの

自分の欲望を叶えるために相手をツール化したり、相手に自分の理想を過剰に投影して枠に詰め込むのは、ナルシシズムの得意技。

個体としての相手は物理的には存在するのだけど、論理的に存在していない。相手はあくまで「自分の理想の投影先」という名の箱であって、人格や心情はまったく重要ではないからです。

映画の中で、エイミーは極端な手段でもって、それを実現させていくわけなんだだけど、それがもーーーーーーーーーーーーーーのすごく怖い。

なぜなら、自分の欲望に対してどこまでも忠実に正直に生きていくと、結果として他人の命までも道具の一つになっていく過程をまざまざと見せつけられるから

公共の福祉なにそれおいしいの?

相手はあくまで「個体」でなく「器」でしかないから、当然と言えば当然の結果なのだけれど、ここまで自己愛を貫き通せたら、それはエイミーの人生としては非常に幸せなのだろうから、突き詰めた「個人の幸福」のひとつではある。

抑圧された女の怒り、親に期待された役割、救いだしてくれた男、裏切られた絶望、相手の過度な理想化、完璧に思えた関係の悪化……。

人の業や欲望をとにかくぶち込んでグツグツ煮詰めたような恐ろしい感情のドロドロが、呼吸するだけで自分の中に侵入してくるようで、鑑賞後はHPがごっそり持ってかれた上にステータス異常のオンパレードという感じ。誰か私にエスナかけて?

自己愛・搾取・支配で形成された、悪魔のバミューダトライアングル

相手の気持ちなんてどうでもいいと言い切れる、彼女の「理想に対する欲望と執着」が何よりも恐ろしい。「愛」という誰もが美しく崇高だと信じているものが、歪められ堕天する様をまざまざと見せつけられる。

見終わった後、涙が出たけれど、この涙が自分の中のどこの感情から分泌された成分なのかが、自分でわからなくて大混乱。

恐怖なのか、悲しみなのか、欲望を体現していくことが他人を搾取することに繋がるということへの絶望なのか。もしかしたら、エイミーを少し「羨ましい」と感じてしまったことへの背徳感だったのかもしれない。

自己愛・搾取・支配で形成された悪魔のバミューダトライアングルで、精神が遭難しかけました。救助班!救助班!!

「頭蓋骨を割ってでも、君が何を思っているのか知りたい」

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冒頭の美しく愛に溢れるやり取りが見るものを地獄に誘う呪いの言葉だなんて思わないように、誰も「こう」なるために結婚するわけではないのにね。

夫婦とは結婚とは、妥協と擦り合わせと諦念だとはよく聞くけれども、そんな生易しいもので許してはくれない映画です。

深夜に心を慰めてくれるアルコールとブランケット、そしてほろ苦いチョコレートと共にどうぞ。無装備で挑むにはあまりにも過酷だよ。

 

ゴーン・ガール (字幕版)

ゴーン・ガール (字幕版)

 

すべてを理解した上で、もう一度ストーリーをたどると、別のものが見えてくる。二度おいしくて二度死ぬ。

FBI心理分析官―異常殺人者たちの素顔に迫る衝撃の手記 (ハヤカワ文庫NF)

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「自己愛」と「依存」の精神分析―コフート心理学入門 (PHP新書)

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本当にいろいろ怖いもん!メンヘラとかサイコパスとかやめてよっ!

でも結構いっぱいいるのも知ってる!知ってるよ、私!!!