ホトにパワーストーンを納めよ。新手スピリチュアル「子宮女子」:後編
スピリチュアル系女子が、いま「子宮」にハマっています。
子宮女子とは、「子宮を女性性の象徴にして、自己実現したい女子」のこと。スピリチュアル系こじらせ女子のひとつの進化系です。
Facebookでやたら「子宮」と「自己実現=ありのままの自分を認める」ことについて書いている女子がいたので、彼女とその友人について観察した結果のまとめです。
前編では、下記についてまとめました。
- ジェムリンガ
- 子宮女子とはなにか
- 子宮女子の特徴
- スピリチュアル女子との近似性
今回は、「なぜ子宮なのか」に焦点を当ててみたいと思います。
なぜ子宮なのか——チキュウからシキュウへ
子宮崇拝とジェムリンガなどが観測範囲にまで出てくるようになってきたのは、ここ1年ごろのことです。なぜいま「子宮」なのでしょうか?
「宇宙」「地球」ときた流れでの「子宮」なのではないか——。
これがわたしの仮説です。
「子宮女子」とスピリチュアル女子の類似性については、前編でまとめました。
- 将来への不安があるけれど、解決策を考えられない、考えたくない
- 不安を解消したいので、なにかに頼りたい
スピリチュアルや縁結び神社、占いや新興宗教……「解決はほしいけど、自分では考えられない」という人の受け皿はこれまでにも数多くありました。そこに新しく受け皿として出てきたのが「子宮」なのではないでしょうか。
なぜ子宮なのか?
これはあくまで推測ですが、ひとつには「宇宙系スピリチュアル」「エコ・ナチュラル」ブームの衰退があるのではないかと思っています。
ノストラダムスの予言がいきていたころは「宇宙」がスピリチュアルの崇拝対象でした。しかしこれらはすっかり手あかがついてしまい、「怪しい、うさんくさいもの」として葬り去られつつあります。
2000 年代に一世を風靡した「ナチュラル・エコロジー×自己実現」の組み合わせは「戦略などを考えたくないマイペース派」「自然という神秘を求めるナチュラル・ドリーム派」ニーズの大き な受け皿となっていました。しかし、これも廃れてしまいました。「エコ」概念が日常的になりイデオロギーとして使い尽くされた感があること、その経済性にみなが飛びついた結果、エコ女子を続けるにはやたらお金がかかる(マクロビや有機野菜、自然素材のエクスペンシブ感がそれを物語っています)ことがあり、大多数の女性には手が出ないものになっています。
スピリチュアルは時代とともに、新しい「神秘」を求める……。
「宇宙」「地球」ときて、次は「子宮」なんじゃないかな!
などとおじさんギャグのような感じで思いついたのですが、あながちズレてもいない気がします。
「ヴァギナ」「まんこ」ではなく「ホト」
さて、ここでもう1回、ジェムリンガについて考えてみましょう。
ジェムリンガは「ホト(膣)に納めるパワーストーン」です。
この「ホト」という言葉づかいがポイントです。ホトは『古事記』に出てくる単語で、イザナギとイザナミというふたりの神がセックスして世界を創造するときに使います。
神様時代からの古い言葉!神秘的です。日本的な自然崇拝の大元締めなわけですから、すごくスピリチュアルとの相性がいい。そしてエコロジー&ナチュラル派との相性もいいです。子宮女子は「化学物質がある通常ナプキンは体に悪いから、布ナプキン派」が多いです。ここ試験にでますよ!!!
そしてもうひとつ重要なのが「体としてのなまなましさ」を感じさせない響きであること。「膣」「ヴァギナ」「ま○こ」では絶対にダメです。
そういう「臓器」「セックス」を想像させる単語では神秘的ではありません。そしてなにより、セックスなどへの抵抗感、自信がない女子を引かせてしまいます。
なぜなら、彼女たち——男のペニスやバイブを入れる機会が少ない&抵抗がある女性たちこそが、ジェムリンガのお客さんなのですから。
女性として レリゴ〜♪レリゴ〜♪したい人が子宮にハマる
前編で書いた「子宮女子の方程式」と「特徴」を思い出してみましょう。
子宮女子=女性としての自分に自信がない「こじらせ女子」×なにか神秘的な力に頼って思考せずに不安をとりのぞきたい「スピリチュアル女子」
- 女子っぽくありたい
- でも「女」ぽいのは苦手
- 「女としての自分」に自信がない
- がつがつしていない、戦略を考えるのが苦手
「自信がない」 「戦略を考えるのが苦手」がスピリチュアル女子の特徴ですが、そこに「女としての自信がない」「セックスなどの生々しいものに苦手意識がある」というエコ系こじらせ女子の要素が加わると、子宮女子が爆誕します。
子宮は「女性」としての究極のシンボルです。原始宗教の多くが「すべての人間を生む子宮」を、神や宇宙になぞらえて崇めてきました。
「セックスの象徴」でありながら「母性」も感じられる子宮。それが、セックスに抵抗感がある女性の心をつかむのではないでしょうか。
- 自分をありのままに受け入れる「母性」の象徴(レリゴ〜♪レリゴ〜♪子宮)
- 「すべての人間はここから生まれた」という神秘を持つ「体内の宇宙」(宇宙としての子宮)
- 月に1回、経血という犠牲をはらって、新しい自分に生まれ変わる「循環思想」(自己実現としての子宮)
縄文土器の土偶や「胎内巡り」に近い概念でありながら、そこに「自己実現」という現代風のアレンジがしてあるのが、「子宮」界の特徴であるように思います。
興味深いのが、21世紀のスピリチュアルは「精神性」だけではなく「身体性」を持ち始めたということです。「見えない神秘的ななにか」ではなく「実際に自分の下半身にある臓器」を対象とすることで、身近な雰囲気をもたせているからでしょうか。ここらへんはもう少し、子宮女子の言動を観察していきたいところです。
結論:バイブを買おう
ホト(膣)にパワーストーンを入れるぐらいVacancyなら、バイブを入れましょう。
いろいろ考えた結果、子宮女子に言いたいことはこれでした。けっして論考が途中で面倒くさくなったとかではありません。いやわりとマジメな話。
彼氏(男根)がすぐ手に入らない環境なら、それはしょうがない。運の問題なのでむりやりビッチ化する必要はぜんぜんないし、男根信仰で自己実現しようとすると高確率でメンヘラになるのでやめましょう。しかし、自分の性欲や「女としての自分」にはもっと肯定的でいいと思うのです。
わたしの周りにも、「アラサー処女」、昔に彼氏はいたけどセカンドバージンになりつつある「干物女子」がそれなりにいます。
そんなとき、彼女たちにまじめにススメているのが、オナニーとバイブ。ガチで性欲がない女子もいるにはいますが、それよりも「いい子でいよう」「恥ずかしい」というあまり、自分の女性性や欲ときちんと向き合っていない人がわりと多い。
白馬の王子様と幸せなセックスをして女としての喜びを知る、なんてのは幻想です。まずは「女としての自分」を、自分で触って知りましょう。
ありのままの自分を認めたいなら、まずは自分で自分の体を知って、肯定することから。スピリチュアル宇宙をわざわざ挟まずともそのまま体で感じれます。宇宙なんてやたらマージンをとるでかい仲介業者をいれる必要はこれっぽっちもありません。
「ジェムリンガ」「子宮メソッド」「カルマ粒」「子宮 宇宙」「卵巣カフェ」などマジキチワードが踊るラビリンスで自分探ししたり、不安から逃れる方法を探すのは、ただの現実逃避です。そこでは、探したいものは永遠に見つかりません。見つかるのはスリムになった財布だけ。
最近のバイブはたいへん性能がよいと評判です。オーガズムはストレスを軽減させ、満足感をもたらします。
自分で触って自分の体を知れ。パワーストーンと子宮は何も語らない。
将来への不安を抱えるこじらせ女子へのメッセージと論考は以上です。ありがとうございました。
おすすめ本とかバイブとか土偶とか
「気持ちいいオナニーの方法」をちゃんと学ぶなら、まずはこの本。「ゴールデンフィンガー」も「白馬の王子様」もないんだよ♡
オナホのTENGAが女性向けにつくったビギナーズモデル。「いやらしさがない」「抵抗感がうすい」ものを目指したそう。テストケースとして後輩が会社の机の上にどうどうと置いていたそうですが、誰もつっこまなかったし、注目もしなかったとのこと。ちなみにちゃんとした大きいバージョン「iroha FIT」は形がイマイチ&壊れやすいというレビューが多いので、お気をつけて。
参考
『古事記』はエロいし、むちゃくちゃ神様たちがテキトーなところが好きです。
- 作者: 武藤康弘,譽田亜紀子
- 出版社/メーカー: 世界文化社
- 発売日: 2014/07/19
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この記事でいちばん時間を使ったのは、土偶かもしれない。土偶のこと、なにも知らなさすぎた。