妖怪男ウォッチ

恋愛文化人類学が趣味の外資アラサーOLによる、ラブ魔窟サバイバル記録。

なぜ『姉の結婚』『今日は会社休みます』は駄目ファンタジーなのか

「こんなアラフォーいねーよ」でおなじみのファンタジーSF恋愛ミステリ漫画『姉の結婚』が完結しました。

最後まで徹底したご都合主義で、わたしの心に2ビール1チータラ(2本ビールと1袋のチータラを摂取しないと昇華できないという単位)のもやもやを残していきました。

姉の結婚 8 (フラワーコミックスアルファ)

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滅びよ「アラサー少女漫画」

ところでわたしは、こういう「りぼん」「なかよし」で育った世代の恋愛ファンタジーをアラサーでそのまま展開してしまった、いわゆる「アラサー少女漫画」 がキライです。

その筆頭が『姉の結婚』、そしてドラマが盛り上がってるように広告会社が見せてるけど実際は盛り上がってない『今日は会社休みます』。

「アラサーなのに少女とかwwwwwwww」と草はやされそうですが、まー実際これらの漫画って、恋愛観がそのまま「りぼん」「なかよし」「花とゆめ」の移植なので、ぜんぜん「大人」じゃない。主人公だけ年くってて読者に親近感をあたえるけど、やってることはただの「王子とキス♡してH♡して結婚式♡でハッピーエンド最終回」のまま。

ぶっちゃけ、わたしのまわりで『姉の結婚』大好き!共感する!て人みたことないです。みんな「うおあーーーーーーありえねえええええ」って身悶えヨガするための道具にしてるイメージ。

きょうは会社休みます。 1 (マーガレットコミックス)

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アラサー少女漫画のなにがファンタジーなのか

ほうぼうで非難轟々の『姉の結婚』『今日は会社休みます』ですが、なぜ私はこれらのアラサー少女漫画を毛嫌いするのでしょうか?

多くの人が指摘しているのが「ファンタジーだから」

わかるんですが、「ファンタジー」ってつまりはどういう意味なんでしょう?

見ていると、「こんなに都合のいいことやトラブルがぽんぽん起こるわけない」という意味で使っている人がいますが、わたしはそうは思いません。

わたし自身、シャイな男性たちにたて続けに告白されたのに無視られたり、「死にたくなったときに君のことを思い出すんだ……」だの「僕は最年少役員で人生がとんとん拍子すぎたから失敗するのが怖い。だからあなたにコーチしてほしい」だの冗談みたいなことにしばしば遭遇するので、「事実は小説より奇なり」ですねって思ってます。

ではいったいなにが徹底的にファンタジー=非現実なのか?

それは「自信がないけどモテる女子」。

あのね、いないから。

「自信のない女はカモられるけどモテない」から。

そこをまちがえるな!!!!!!

 

自信ない女はモテない、カモられるだけ

もしあなたが自信がないのにいろんな異性が寄ってくるなら、それはカモられてるってことです。「モテてる」わけではけっしてない。

メンヘラ女子がモテるように見えてるのは、性的にガバガバで消費しやすくてカモられてるから。 スピリチュアル女子は性的には消費されませんが、宗教団体にお金の面でカモられてますね?

腐れ縁のヤリチンが言ってました。「自信のない女はヤらせる確度たかい」って。AV女優や水商売のハンティング、ナンパ師もきほんは、「ヤリ捨てしやすい女=自信のない女子」という共通認識を持ってます。

 そもそも「モテる」ってなんなのか

じゃー「モテる」と「カモられる」の違いってなんなのよってことですが、端的にいえば「モテる」とは「相手をきちんと考えられる思いやりのある人に好かれる」ってことです。「カモられる」というのは「相手の欲望が中心で、こちらの痛みや思いなどは軽視する人に好かれる」ということ。

  • モテる:あなたは相手が大事にしたい人。思いやりの対象。
  • カモられる:あなたは相手の欲望を満たすツール。利用の対象。

どちらの漫画も「相手のことを思いやり、将来を考えている、キチンとしたまっとうな男」に好かれていますが、こういうキチンとした男は、まず「自信のない女」なんて選ばない。

キチンとした誠実な男は、自信のない女を選ばない

キチンとした人、誠実な人は、相手にも同程度の誠実さを求める傾向にあります。

だから、自信のない女は選ばない。

なぜなら、「自信がない」とはつまり「自分自身とちゃんと向き合い、自分の弱さをうけとめる」ことをこれまでしてこなかった、自分自身に不誠実であるということだから。

ぶっちゃけ、顔やスタイル、服装やらモテテクニックやら趣味なんて、どーでもいいんですよ。モテるかどうかってもう「自分のことを認めている、自分の望みをはっきり理解している=セルフコンフィデンスがあるかどうか」の一点勝負

自信のない女は、自分自身と向き合えてないわけですから、当然ながら相手ともちゃんと向き合えません。

自分自身から逃げる人間は、いずれ目の前の相手からも逃げます。逃げるとわかってる不誠実な相手を、まっとうな男が選ぶメリットがない。

 

わたしのまわりには、アラサー処女やセカンド処女がわりと普通にいますが「この子はタイミングがあってないだけで潜在的にモテるから誰か紹介しよう」「この子はカモられるから無理」というのはわりとわかっちゃうもの。

顔やスタイルや服じゃないんです。オーラ。「自信ないです」って垂れ流してて、魅力を感じない。笑顔はぎこちないし、話してもはっきりした意見がなくてうすぼんやりしているし、背は曲がっているし、下を向いて歩いてるし、でも認めてほしいという重いオーラを感じるし。

その点、同じ「アラサー処女」でも、オカザキマリ『&』はいいですね。主人公の女子がちゃんとやりたいことを持っている。不安があるなりにがんばってる。あれは健気で応援したくなる。おっさんがコロリするのわかりますよ。シロちゃんはわたしにください。

& 1 (Feelコミックス)

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結論:男に自信をつけてもらおうとするな。アラサー女子よ、哲学せよ

 『姉の結婚』はまだ「マキ先生は変態で初恋をひきずってる狂信者」「仕事などで自信をつける」「もともと不誠実な男にカモられていた」などがありますが、『今日は会社休みます』はほんとうにただの妄想の垂れ流しですね。

「自信がないけど、ちゃんとした男が、なんどでも愛をささやいてわたしに自信をつけてくれる」というのがアラサー少女漫画の特徴ですが、なんでそんな苦痛きわまるボランティアをちゃんとした男に求めますかね。

「自信がなくて逃げる」「不安になって疑ってしまう」→「でも自分じゃ自信のなさを解決できない(つーかやらないだけだけどな)」→「自信を与えて!!」って、つまりは自分で問題解決すべきなのにしなかったことを、タダで丸投げ外部委託するってことですよ?

あなたは、増田で不満をかき散らしている童貞を口説き、自信のなさゆえに断られても、なんどでも話し合いをしようとするのでしょうか???

「断られてもなんどでも追いかける」「信じてもらうまで愛をささやく」という血まみれになるようなソリューションを求めるくせに、相手には怖くてなにも与えない。思いやりと優しさの強盗みたいなもんです。

実際にこれやられた後輩男子、そっこうで逃げました。

「自信がないけど、男に口説かれて自信を与えられた」っていうのをサクセスストーリーとして語るのはまじ害悪なのでやめません?そんなことより、自分はなぜ自信がないのか、いったいどこにひっかかっているのか内省と哲学をうながす漫画をつくってもらいたい。

じゃないといつまでも「ぱぷこのいうことは本当に当たるーぱぷこは私の占い師♡」みたいな女が後を絶たないのですよ。

 

本当にいいたい。

自信がないなら、男と占いに解決策を求めるな!内省すべし!思考して哲学すべし!

 

「思考」は人生税なので、どこかで払わないといけないんです。青春時代に考えないですませちゃった人ほどアラサーでひっかかる(で、わたしに相談が山ほど寄せられる)。

そういう人のために、「自己実現」とか「ありのままのうんちゃら」とかじゃなく、「アラサー女子よ哲学せよ!」っていうプロパガンダを打つクールなアラサー女子向け漫画とか出ないかなってまじ思う今日このごろ。ぱぷりこでした。

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ゴーギャン「われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか」

 

 自信がないアラサー独女の皆さん、レッツ内省

日々是修行 現代人のための仏教100話 (ちくま新書)

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 仏教学者が書いた、日々の生活に転がっている「自分とはなにか」という問い。仏教について勉強したいときに読んだのですが、生き迷ってる人にもいい内容だと思う。

哲学の謎 (講談社現代新書)

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 論理学で有名な野矢さんの入門書。なにも哲学をわかってない生徒との対話形式なので、ちょー軽く読めますが、内容はほんとにしっかりしてる。安定の野矢クオリティ。

 

 カモる人、カモられる人の話を書きました

ヤリチン

男の数で自信を得たい愛され風ビッチ

自信がないスピリチュアル女子