地球から子宮へ。新手スピリチュアル「子宮女子」の生態:前編
スピリチュアル系アラサー女子がいま、「子宮」にハマっています。
ハメる?ハメられる?ノン、彼女たちは子宮にハマるのです。
なんで子宮?子宮は臓器でしょ?という唯物論者の皆さん、グレートマザーになりたいの?という地母神の皆さんに、今回は「子宮女子」の生態をお伝えします。
子宮女子を知ったきっかけ
子宮女子の存在を見つけたのは、みんな大好きリア充をシェアさせていただいているFacebookでした。
マクロビ女子、タロットカードのお告げを日替わりでつづるタロット女子、月光と対話してパワース トーンを充電するムーンパワー女子、エンジェルのお告げを聞くエンジェル巫女……わたしのFacebook上には多様な人材がいますが、その中でもこの数カ月でひときわ存在感を際立たせてきた のが「子宮女子」。
「子宮の声を聞く」
「子宮と地球の対話」
「子宮は持ち主のことを考えている」
こんな言葉が乱舞するブログ記事に片っ端からいいね!をつけまくり、イベント参加記録をシェアしていたので、気になって調べてみたのでした。
もしあなたが新しいフロンティアを開拓したい21世紀のバスコ・ダ・ガマなら、「ジェムリンガ」「子宮メソッド」「カルマ粒」「子宮と宇宙」「卵巣カフェ」などの単語でググってみましょう。何を見ても知らないよ!
「パワーストーンはここをこうして……膣に入れる」「膣に入れる」
まずは「子宮女子」の大まかなイメージをつかんでみましょう。
「子宮女子」の象徴、それが「ジェムリンガ」。
ホト(膣のことだよ!)に納めるパワーストーンです。多目的パワーストーンで、月経をコントロールしたり、子宮力をアップして妊活につなげたり、いろいろ浄化したりできるそうです。
ついこのあいだも、はてな界隈で話題になりましたね。
衛生の問題などから、ふつーにアウトな案件なのですが、問題これに魅力を感じ、買おうというマーケットがあること。そして実際にわたしの知り合いが買ったこと。
ジェムリンガは2万円以上するので、けっして安いものではありません。このお金があれば、TENGA製品や北欧のスタイリッシュバイブ(このバイブが超お気に入り♡かわいいし機能的)が何本も買えます。バイブを買えばオーガズム♡ハッピー♡なのに、彼女たちはその道を選ばないのです。
子宮女子とはなにか
さて、いよいよ本題です。「子宮女子」とは、みずからの子宮をつかって自己実現しようとする女性たちのこと。「とりあえずモテ服で高スペック男を呼び寄せ、妊娠して結婚に持ち込む」別の子宮マウンティング女子(看護師に多いですね!)とは正反対の方向性のイキモノです。
子宮女子は、以下の方程式であらわせます。
子宮女子=女性としての自分に自信がない「こじらせ女子」×なにか神秘的な力に頼って思考せずに不安をとりのぞきたい「スピリチュアル女子」
「膣活」や「子宮活」は同じ「女性の下半身」ものですが、「子宮女子」の発想は根っこから違います。
- 膣活:よりオーガズムを感じるためにオナニーなどを行うトレーニング。目的は、よりよいセックスと満足感。
- 子宮活・子宮力:子供を生む女性、生理痛に悩む女性のための健康療法(疑似科学が多いので注意)。「子宮力=女性ホルモン=女子力」というマーケティングをとる場合もある。目的は、美容健康、女子力アップ、身体的な不安の解消。
- 子宮女子:自分の女性性を受けとめたい女子。目的は、自己実現や精神的な不安の解消。
ここでポイントなのが、子宮を「男とセックスする性器、生理活動をしている臓器の一部として見るか、女性の象徴として見るか」ということ。
「膣活」「子宮活」はセックスが前提。セックスとその結果としての子供、その前段階である「モテ」「女としての自信」を意識しています。
一方、「子宮女子」の思想はセックスと結びつきません。むしろ彼女たちは「モテ」などのメスっぽい要素、媚び要素に嫌悪感をもつ傾向にあります。
「彼氏なんて無理につくらなくてもいい。結婚も無理にするものじゃない。いつかはできる。わたしはわたし。ありのままでいたい」
「女っぽい格好や男に媚びるのは抵抗があるし、やりたくない。でも、女性としての自分に自信を持ちたい」
「でも漠然と不安」(←ここ重要!!!)
「将来への不安」+「女としての自己実現欲求」が、子宮女子の根底にあるのです。
子宮女子の特徴:自己承認はそこそこの干物女子
ここ数カ月、Facebook上の子宮女子たちを観察してみました。
1.女子っぽくありたい
-
アラサー(特に30代)未婚(子宮講師陣は子供がいることが多い)
-
かわいいものが好き
- ナチュラル派
- 女子会が好き
2.でも「女」ぽいのは苦手
- セックスに対して抑圧的(恥ずかしい、汚いなどの意識がある)
- オナニーへの抵抗感がある
- 「モテ」「女子力」に抵抗感がある
3.「女としての自分」に自信がない
- 容姿に自信がない
- 過去につらい男性経験がある
- しばらく彼氏がいない
4.がつがつしていない、戦略を考えるのが苦手
- 生活にはそれなりの満足がある(欲求が少ない)
- マイペース
- 根拠なく「いつかどうにかなる」と思ってる
- 考えるのが得意ではない
- 「彼氏いなくても楽しい」と思いつつ、漠然とした不安を抱えている
- いくつも趣味をもっているが、どれもそこそこで、突き詰められない
- 他人と自分を比較しがち
- 結婚や家庭など「普通」への憧れがある
モテを追求するには独立心(媚びたくない!という気持ちが強い)が強く、ビッチほど性欲がなく、オタサーの姫ほどオタクでもない。一見どこにでもいそうな普通の女子です。
しかし、彼氏が長いこといないため「女としての自分」に自信がありません。
自分をとことん低く見積もるこじらせ女子と違い、彼女たちは「自分はどうにかなる」となんとなく自分に肯定的です。しかし実際は、未来のことを考えないために不安をあまり感じていないだけ。厳しい現実が目の前にあらわれたとき、一気に自信を失います。
Facebook上の子宮女子は、1年ほど前から、
「周りからどう思われてるかなんて関係ない!わたしはわたし!」
「自分のことを信じよう!」
「人から思われてるほどわたしは強くない。お姉さんだけど寂しがり屋」
など、自信を持ちたい……でも不安……でも自分は自分……という精神の振り子運動をだだ漏らしていました。そして2週間前、彼女はついにジェムリンガを買ったのです。
戦略がない女子がスピリチュアルにはまる
「子宮女子」の特徴は「スピリチュアル」にはまる女子の特徴と似ています。
そもそも「戦う女子」は、スピリチュアルにはまりにくいです。彼女たちはせちがらい現実を生き延びるため、さまざまな戦略を立てて行動します。
- モテ女子:マーケットへの順応能力
- オタサーの姫:ニッチ市場をねらうマーケット選定能力
- ビッチ:物量作戦
一方、戦略が嫌いな人、マイペースな人、そもそも戦略を立てられるほどの思考力がない人は、戦略を持たないため基本的に「運」まかせになります。
運がよかった人はいい。しかし、運が悪かったら?
がちマイペースな人は世間など気にしませんが、世間を気にしちゃう半分マイペースの人は、どうしても自分と周りを比べてしまい、不安スパイラルにはまります。
「自分はどうにかなると思ってたけれど、どうにもならなかった」——。
そこでスピリチュアルです!
以前に紹介した「思考停止のアラフォー男」がわたしを崇拝したように、「不安を解消したい」「でもその対応策を考えられない、考えたくない」人は「なにか神秘的なものを崇拝する」という楽な方法で救済されようとします。
そのマーケットをバキュン☆と狙い撃つのがスピリチュアル。「理屈ではない神秘的なものを信じる」「疑うのがめんどくさい」という、思考したくない人のニーズをみごとに汲みとります。
そして「子宮女子」は、新しいスピリチュアルの一派ではないかと思うのです。だから、ジェムリンガという、パワーストーン商品が出てくるのではないのかと。
まとめ&予告
長くなってきたので、いったんまとめます。
- 子宮女子とは、子宮で自己実現したい女子
- 「ありのままの女性」としての自分を受け入れる媒介として、子宮を崇拝する
- スピリチュアル女子とマーケットが近い
後編では「なぜ子宮なのか——チキュウからシキュウへ」「子宮と自己実現」「宇宙としての子宮」についてまとめたいと思います。
後編も書いたよ
ペニスやバイブよりパワーストーン。スピリチュアルこじらせ「子宮女子」の生態:後編 - 妖怪男ウォッチ
全世界の子宮が震える本
「生理トラブル解消・女性ホルモン活性化・自律神経も整えて心も体も女子力アップ!あなたの子宮、硬くなっていませんか?」ふつうに医療的な話もしてますが、そこでなぜ女子力を混ぜる。そういうことするから、へんな子宮力をつける人が出てくるんです!
婦人科医が書いた「子宮のウソ・ホント」本。スピリチュアルではありません。Amazon評価は賛否両論なので、レビューだけ読んでてもおもしろい。
- 作者: 宋美玄
- 出版社/メーカー: ブックマン社
- 発売日: 2010/05/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 191人 クリック: 11,023回
- この商品を含むブログ (67件) を見る
宋先生の本はいつもお世話になってます♡非モテをこじらせてしまった女子は、とりあえず逃げる前に自分の欲望とすなおに向き合ったほうがいいと思う(快楽主義者のいち意見)。
タイトルお借りしました。